◉オーストラリアで見た、まったく違う世界
そんな頃、30歳でオーストラリア店舗へ異動になりました。
そこで出会ったのは、日本とは“真逆”の空気感と身体文化でした。
お店に行けば店員さんはイスに座って接客し、バスは時間通りに来ないし、
洗濯機が壊れても修理は 5日後。
日本の「丁寧・迅速」と比べると不便なことも多いけれど、街の人たちはみんなニコニコしていて、どこか余裕がある。
「人に迷惑をかけないように頑張る」のではなく、“人を許し合い、自分も力を抜いて生きる” 空気。私はその文化が、とても心地よかった。
セラピストとして働いて一番驚いたのは、お客様の背中の硬さがまったく違うこと。日本では 9 割の人が背中がガチガチなのに、オーストラリアでは 1 割もいない。“余裕”が身体にまで表れていることを、全身で感じました。
生活の中にある「休息と自由」。オーストラリアではクリスマスが一大イベント。
25 日はスーパーもコンビニも閉まるので、みんな 24 日までに食料を買いだめします。そして、真夏のクリスマスにはビーチでサンタ帽をかぶりながら BBQ を楽しむ人たちの姿。
「楽しむことに素直で、休むことに遠慮がない」
そんな文化との出会いは、私の価値観を大きく揺らしました。
そして何より、忘れられない光景があります。
ある土曜の夜、おじいちゃんとおばあちゃんが手をつなぎながら、ダンスホールへ向かって歩いていく姿を見ました。おじいちゃんはタキシード、
おばあちゃんは背中が開いたキャミソールドレス。背中は少し曲がっているし、体型だって“普通のおじいちゃん・おばあちゃん”。それでも、ふたりは心から人生を楽しんでいました。
日本なら「年齢的に…」「体型的に…」と遠慮されてしまいそうな姿。でもオーストラリアでは誰もそんなことを気にしない。年齢も体型も関係なく、人生を思いきり楽しむ。その姿があまりにも美しくて、胸が熱くなりました。